💡 はじめに
GitHub Copilotは、もはや「次の単語を予測するツール」ではありません。最新の GitHub Copilot Extensions や Agenticな機能(AgentHQ的な発想) の登場により、開発者の「右腕」から、特定ドメインの知識を持つ「専門家エージェント」へと進化しています。
本記事では、この進化の波を乗りこなし、開発スピードを異次元に引き上げるための完全攻略ガイドをお届けします。
🏗️ 1. 最強の布陣:GitHub Copilot を動かす3つの環境
Copilotをどこで動かすかは、開発の柔軟性を決める重要な選択です。
① VS Code (ローカルデスクトップ)
- 用途: 日常のメイン開発。
- 強み: ローカルの環境変数やファイルの機密性を保ちつつ、高速にレスポンスを得られる。
- Agent活用:
Terminalと連携したコマンド提案や、ローカルデバッグが容易。
② GitHub Codespaces (クラウドコンテナ)
- 用途: チーム開発、環境の統一、リソースの節約。
- 強み:
.devcontainer.jsonにCopilotの設定を記述することで、「AIが最初からプロジェクトのコンテキストを完全に理解している環境」をチームに配ることができます。
③ GitHub Copilot Extensions (外部ツール連携)
これが現代の「Agent」的な使い方の核心です。Sentry、Docker、Azure などの外部ツールを、Copilot Chatの中から直接呼び出せます。
- 例:
@sentryに「直近のエラーの原因を教えて」と聞き、そのまま修正案を出させる。
🤖 2. エージェント化するCopilot:AgentHQ的活用術
「AgentHQ」のように、特定の役割を持ったエージェントを使い分ける感覚でCopilotを運用するのが現代のベストプラクティスです。
🚩 コンテキストの最適化
Copilotは「今見えているもの」しか理解できません。エージェントに正しい指示を与えるには、以下の工夫が必要です。
- 関連ファイルを開く: 参照したいクラスやインターフェースを別のタブで開いておくだけで、AIの「短期記憶」にその情報が入り、提案精度が劇的に向上します。
.github/copilot-instructions.mdの活用: プロジェクト独自のコーディング規約やライブラリの使い方の癖をこのファイルに書いておくと、Copilotがそれを守るようになります。
🚩 スラッシュコマンドによる役割分担
Copilot Chatで / を打つことで、AIに特定の役割(エージェント)を与えます。
/explain: コードの解説エージェント。レガシーコードの解読に。/tests: テスト作成エージェント。カバレッジを埋める作業を自動化。/fix: デバッグエージェント。エラーログを渡して修正案を提示させる。
🌟 3. 実戦!モダナイズにおけるCopilot活用シナリオ
古いJavaアプリケーション(Strutsなど)をSpring Bootへ移行する「モダナイズ」で、Copilotをエージェントとして使う具体例です。
ステップ1:レガシー解析
Prompt:
@workspace /explain このStrutsのActionクラスのビジネスロジックを抽出し、Spring BootのServiceクラスで書き換えるための設計案を作って。
ステップ2:ボイラープレート生成
Prompt:
このEntityクラスに基づいたSpring Data JPAのリポジトリインターフェースを生成して。
ステップ3:テストの自動生成
Prompt:
新しく作ったServiceクラスに対して、JUnit 5とMockitoを使ったテストコードを生成して。特に境界値テストを重点的に。
📊 4. 比較:従来の開発 vs Copilot Agent開発
| 項目 | 従来の開発 | Copilot Agent開発 |
| ドキュメント参照 | 公式サイトを検索して読み込む | Chatで @docs 経由で直接質問する |
| 環境構築 | 手動でJDKやツールを入れる | Codespaces + devcontainerで自動化 |
| デバッグ | ログを見て頭で考える | ログをChatに貼り付けて原因を特定させる |
| テスト作成 | 最後にまとめて書く(苦行) | 実装と同時に /tests で生成する |
1. New Chat (チャット)
【役割:知識の相談・コードの断片作成】 最も基本的な対話型インターフェースです。
- 使い方: 特定のリポジトリやファイルについて質問したり、新しい関数の下書きを作成させたりします。
- ポイント:
Alt + L(またはチャット欄の@workspace)を使うことで、リポジトリ全体の構造を踏まえた精度の高い回答が得られます。 - 適したシーン: 「このメソッドの意図を教えて」「Spring BootでAPIを作る時の定型コードを書いて」といった、局所的な相談。
2. Agents (エージェント)
【役割:タスクの丸投げ・自動実装】 単なる相談相手ではなく、「実際に手を動かしてコードを書き、PR(プルリクエスト)まで作る」自律的なアシスタントです。
- 使い方: 「このIssue(課題)を解決して」と指示を出すと、エージェントが自動でブランチを作成し、コードを修正し、テストを実行した上でPRを提出します。
- ポイント: 人間は上がってきたPRを「レビューするだけ」の状態になります。
- 適したシーン: 「リファクタリング」「簡単なバグ修正」「ドキュメントの更新」など、手順が決まっている定型的な作業。
3. Spaces (スペース)
【役割:プロジェクトの文脈(コンテキスト)共有】 特定のプロジェクトに関連するファイルやドキュメントをまとめ、「専門のナレッジベース」を作る場所です。
- 使い方: 複数のリポジトリの特定のファイルや、設計ドキュメントを「Space」に登録します。すると、そのSpace内のチャットは登録された情報だけを深く理解した回答をします。
- ポイント: オンボーディング(新人がプロジェクトを理解する)や、複雑な仕様の横断的な検索に役立ちます。
- 適したシーン: 「プロジェクト独自のルールに基づいたコード生成」「複数リポジトリにまたがる仕様の確認」。
4. Spark (スパーク)
【役割:アイディアの超速プロトタイプ作成】 コードを一行も書かずに、自然言語だけでミニアプリ(Micro-apps)を作るプラットフォームです。
- 使い方: 「TODOアプリを作って」「経費精算のフォームを作って」と伝えるだけで、UIとロジックを備えたWebアプリが即座に生成されます。
- ポイント: 生成されたアプリはそのままクラウド上で動作し、さらに言葉で「削除ボタンを追加して」と指示して進化させることができます。
- 適したシーン: 「本実装前のプロトタイプ作成」「社内向けのちょっとした便利ツール作成」。
🧠 Copilotの「2つの知能」の仕組み
Copilotが情報を持っている範囲は、以下の2段階で考える必要があります。
1. 「知識」としての全リポジトリ(学習済みデータ)
CopilotのベースとなるAI(LLM)は、GitHub上の公開リポジトリにある膨大なコードを学習しています。
- 知っていること: 一般的なライブラリ(Spring Bootなど)の使い方、アルゴリズム、標準的な書き方。
- 状態: あなたがコードを書くとき、「世の中の一般的なJava開発者はこう書く」という統計的な知識に基づいた提案をします。
2. 「文脈(コンテキスト)」としての特定リポジトリ(参照範囲)
あなたが今直面している「独自の業務ロジック」や「プロジェクト固有のルール」を理解する範囲は、現在開いているリポジトリやワークスペースに限定されます。
🔍 リポジトリごとの「参照範囲」のレベル
Copilotがどれくらい詳しくリポジトリを読み取るかは、使っている場所によって異なります。
| 場所 | 参照範囲(コンテキスト) | 動作の特徴 |
| VS Code等のエディタ | 開いているタブ + リポジトリ内の関連ファイル | 隣のタブに開いているファイルの内容を強く意識して補完します。 |
| Copilot Chat (@workspace) | リポジトリ全体 | インデックスを作成し、リポジトリ内の全ファイルから関連情報を検索して回答します。 |
| GitHub Enterprise (組織) | 組織内の全リポジトリ | 企業向け設定(Copilot Enterprise)では、組織内の他のリポジトリも横断して参照・検索できる機能があります。 |



