Atlassian(アトラシアン)が発表した「Atlassian Rovo」は、単なるAIチャットボットではなく、「ナレッジの発見」と「タスクの代行」に特化した組織向けAIエージェントです。
JiraやConfluenceの中にある膨大なデータをAIが学習し、チームの生産性を劇的に引き上げるためのツールです。主要な機能を4つのポイントで解説します。
1. 「知りたいこと」がすぐに見つかる(Rovo Search)
Rovoの最大の特徴は、JiraやConfluence以外の外部ツールも横断して検索できる点です。
- コネクタ機能: Google Drive、SharePoint、Slack、GitHub、Figmaなど、バラバラに存在しているドキュメントをRovoが学習します。
- 何ができる?: 「あのプロジェクトの要件定義書はどこ?」「この用語の意味は何?」と聞けば、ツールをまたいで最適な回答とソース(リンク)を提示してくれます。
2. コンテキストを理解する「ナレッジカード」
Jiraのチケットを見ているときに、聞き慣れないプロジェクト名や専門用語が出てくることがあります。Rovoはそれらを自動的に検出し、カーソルを合わせるだけで概要を表示します。
- 情報の要約: 長いドキュメントを読まなくても、ポップアップ形式で重要なコンテキスト(背景情報)を教えてくれます。
- 情報の鮮度: 常に最新の組織内ドキュメントを参照しているため、古いマニュアルに惑わされることが減ります。
3. タスクを自動でこなす「Rovo Agents」
ここが最も革新的な部分です。Rovoは情報を探すだけでなく、特定のスキルを持った「AIエージェント」として働きます。
- エージェントの例:
- プロダクト仕様書作成エージェント: Jiraのチケット内容から仕様書案をConfluenceに自動作成。
- コードレビューエージェント: GitHubのプルリクエストをチェックし、改善案をコメント。
- オンボーディングエージェント: 新入社員の質問に答えながら学習パスを案内。
- カスタマイズ: プログラミング不要(ノーコード)で、自社独自のルールに基づいたカスタムエージェントを作成することも可能です。
4. Jira/Confluenceでの具体的な活用シーン
| 機能 | 活用例 |
| チケットの要約 | 100件以上コメントがついた長いJiraチケットの内容を、3行で要約させる。 |
| 下書き作成 | 箇条書きのメモから、整形されたConfluenceの議事録を作成する。 |
| クエリの自動生成 | 「先月クローズされたバグのうち、優先度高のものをリストアップして」と自然言語でJiraのクエリ(JQL)を書かせる。 |
なぜ「Rovo」が必要なのか?
現代のチームは、情報が複数のツールに分散している**「情報のサイロ化」**に悩まされています。Rovoはその壁を壊し、新人がベテラン社員に聞かなくても、AIに聞くだけで業務が進む環境を作ります。
注意点: Rovoは標準のJira/Confluenceプランとは別の追加料金が発生するアドオン機能です。また、組織内のデータ(非公開ドキュメントなど)をAIが参照するため、適切な権限管理が重要になります。
Atlassian Rovo MCP:外部AIに「会社の知恵」を授ける魔法のプロトコル
これまで、ChatGPTやClaudeなどの外部AIに「自社のJiraの進捗」や「Confluenceの仕様書」を読み込ませるには、データをコピペするか、複雑なAPI連携を自前で開発する必要がありました。
これを「設定ひとつで、安全に、リアルタイムに」可能にするのが Rovo MCP です。
1. MCP(Model Context Protocol)とは?
MCPは、Anthropic社(Claudeの提供元)が提唱した「AIと外部データを繋ぐための共通規格」です。 Atlassianはこの規格にいち早く対応し、自社製品(Jira, Confluence, Compass)を外部AIから操作・参照できるようにする 「Rovo MCP Server」 を公開しました。
2. Rovo MCP で何ができるようになる?
「Jira Rovo」がAtlassian製品の中で動くAIなのに対し、Rovo MCP は、あなたが普段使っている「外部ツール」の中でJira/Confluenceの力を借りることができます。
① AIチャット(Claude や ChatGPT)との連携
「Claude」や「ChatGPT」の画面から、直接あなたの会社のJiraを操作できます。
- 質問: 「Jiraにある最新のバグチケットを5件要約して」
- 指示: 「このチャットの内容を元に、Jiraの新しいチケットを作成して」
- 分析: 「Confluenceにある過去のプロジェクト資料を読んで、今回の課題の解決策を提案して」
② 開発環境(IDE:Cursor や VS Code)との連携
エンジニアにとって最大のメリットです。VS CodeやCursorなどのエディタにRovo MCPを接続すると、コードを書きながらAIにこう頼めます。
- 「今開いているコードに関連するJiraチケットの内容を表示して」
- 「この関数の仕様がConfluenceのどこに書いてあるか探して」
- 「実装が終わったから、Jiraのステータスを『レビュー中』に変えて」
3. Rovo MCP の 3 つのメリット
- コンテキストスイッチの削減: ブラウザでJiraを開き直す必要がなくなり、今作業している画面(ClaudeやVS Code)のまま仕事が完結します。
- 安全なデータアクセス (OAuth 2.1): APIキーをベタ貼りするような危険な方法ではなく、個人のアカウント権限に基づいた安全な認証(OAuth)で接続されます。見ることが許可されていないデータには、AIもアクセスできません。
- 読み取り(Read)と書き込み(Write)の両方に対応: 情報を「探す」だけでなく、チケットを「作る」「更新する」といったアクションまでAIに任せられます。



