OLAPは、大量のビジネスデータから洞察を得るために、データを多次元的に集計・分析するための技術です。
従来のOLAP(特にMOLAP: Multidimensional OLAP)は、高速な多次元分析を実現するために、データ分析専用の環境にデータをコピーし、分析に適した形に加工・集計(物理的なキューブ作成)する必要がありました。
🔹 定義と目的
OLAPの目的は、ユーザーがデータを様々な角度から柔軟かつ高速に分析できるようにすることです。特に、ビジネス上の指標(例:売上、利益)を、時間、地域、製品、顧客といった複数のディメンション(次元)でクロス分析する際に用いられます。
🔹 OLAPの主要な操作
OLAPの分析操作は、キューブ(多次元構造)上でデータを探索する以下の動作に代表されます。
- スライシング(Slicing): キューブを特定のディメンション(例:2025年Q4のみ)で切り出す操作。
- ダイシング(Dicing): 複数のディメンション(例:2025年Q4の関東地域のみ)でデータを絞り込む操作。
- ドリルダウン(Drill-Down): データ集計レベルを下げて(例:国→都市→店舗)、より詳細なデータを見る操作。
🔹 OLAPの分類(MOLAPとROLAP)
従来のOLAPは、データの格納方法によって主に2つに分けられます。
- MOLAP (Multi-dimensional OLAP): データを多次元配列(キューブ)としてOLAP専用のストレージに物理的に格納する方式。高速だが、データの鮮度が落ちやすく、ストレージ効率が悪い。
- ROLAP (Relational OLAP): データ集計をリレーショナルデータベース(RDB)のテーブル構造で行う方式。柔軟性があるが、大規模データでの分析速度がMOLAPに劣る傾向がある。
現代の解決策(V-OLAPとクラウドDWH)
V-OLAP(仮想OLAP)やクラウドデータウェアハウス(Snowflake, BigQuery)**は、この「データ移動の必要性」を解消しました。
- V-OLAP: データを移動させず、仮想レイヤー(セマンティックレイヤー)が元データに対して最適化されたクエリを発行することで、移動なしに高速な分析を実現します。
- クラウドDWH: ウェアハウス自体の処理能力が非常に高いため、データを物理的なキューブに事前に集計しなくても、ROLAP(リレーショナルOLAP)方式で、ほぼリアルタイムに多次元集計を実行できます。



