🏗️ 1. モデリング機能 (Modeling Function)
モデリング機能は、**「データがどのように関連し、どのように構成されているか」**という設計図(セマンティックモデル)を作成する機能です。これは、複雑なデータベースの構造を、ビジネスの観点から理解しやすい形に抽象化します。
| 項目 | 説明 | 具体的な役割 |
| 定義 | データを**ファクト(数値)とディメンション(属性)に分け、それらの間のリレーションシップ(結合)**を定義する機能。 | * テーブル間の関係定義 (JOIN): ユーザーがSQLを書かなくても、裏側で自動的に適切なテーブル結合が行われるようにロジックを定義します。 |
| BI向けの柔軟性 | 実際のビジネス分析のニーズに対応するための柔軟なリレーションシップをモデルに組み込む機能。 | * 多対多(*対*) の処理: 複雑なビジネス上の関係(例:一人の顧客が複数の営業担当を持つ)を正確にモデル化し、集計時の問題を解消します。 |
| * フィルター方向/関係の切替: データのフィルター伝播方向を制御したり、特定の分析でのみ使用する非アクティブな関係を定義したりすることで、柔軟な多角分析を可能にします。 | ||
| 技術例 | LookML(Looker)、Tabular Model(Power BI/DAX)、Virtual Cube(AtScale)など。 | これらの言語や構造によって、分析の基盤となる構造が定義されます。 |
🎯 2. メトリクス機能 (Metrics Function)
メトリクス機能は、「何を計算するか」「どのように集計するか」というビジネス指標の定義と管理を行う機能です。
| 項目 | 説明 | 具体的な役割 |
| メジャー | 集計される数値(例:売上高、顧客数、平均単価)のロジックを定義します。 | * 一貫性の確保: 「売上」がどのレポートでも同じ計算式(例:税抜き、割引後)で集計されるように、計算ルールを一元管理します。 |
| メトリクス定義方式 | 指標の定義に用いられる言語や方法。 | * DAX(Power BI): 高度な計算ロジック(フィルターコンテキストの制御など)を記述します。 |
| * YAML(dbt SL/Cube): 宣言的なコードで集計タイプや計算式を定義し、Gitなどでバージョン管理を可能にします。 | ||
| ビジネスロジック | フィルタリング、期間比較(前年比など)、複雑な条件分岐など、指標の計算に必要な詳細なビジネスルールを定義します。 | * 計算フィールド作成: 複数のメジャーやディメンションを組み合わせた新しい指標(例:利益率)を作成します。 |
■ ① KPI定義の不一致
- Tableau と Power BI で売上が違う
- BI担当とデータサイエンスでARPUの計算式が違う
- 経理・マーケティング・営業で数字が揃わない
→ メトリクスを中央管理することで 一つの定義だけが真実 (SSOT) になる。
■ ② AI(LLM)が間違ったSQLを生成する問題
メトリクス機能のない環境では、LLMは以下のように誤解しがち:
- 売上 = price × quantity?
- gross_sales / net_sales の区別が消える
- 正しい日付キーが使われない
- 複雑な JOIN がミスる
→ メトリクスレイヤーを LLM に渡すことで、SQL精度が劇的に向上する。
■ ③ 同じメトリクスを複数BIで再定義する手間
Power BI、Tableau、Looker、Superset…
ツールごとに KPI を再定義すると管理が破綻する。
→ メトリクスレイヤーが 統一的に提供する。
3. メトリクスレイヤーの提供方式(ツール別)
■ Looker(LookML)
- メトリクス定義に最適化された DSL
- LLMと相性抜群
- 最も成熟した商用メトリクスレイヤー
■ dbt Semantic Layer
- YAMLベースの軽量メトリクス定義
- APIで他ツールから呼べる
- “AI時代の標準”になりつつある
■ Snowflake Metric Store / Cortex Analyst
- DWH自身がメトリクスレイヤーを持ち始めた
- AI(LLM)向けにネイティブ統合
■ Cube(Headless BI)
- JS/YAMLでメトリクス定義
- REST / GraphQL / SQL API を発行
- LLMにメトリクスを渡しやすい(AI PoCに最適)
■ AtScale(エンタープライズOLAP)
- KPI統一のエンタープライズ向け最強
- Excel・Power BI・Tableauが全て同じKPIに
- LLM用API(AI-Link)でAI統合強化中
■ Power BI(Tabular Model)
- DAXでメトリクスを定義
- Copilot と連携し自然言語分析を強化
- ただし他ツール連携は弱い
■ QuickSight / Superset
- 軽量なメトリクス定義は可能
企業横断的なメトリクスレイヤーとしては弱め



